日本医師会で講演ー戦後80年 武蔵野の一隅より、日本と世界を遠望する 

日本医師会で講演ー戦後80年 武蔵野の一隅より、日本と世界を遠望する 

日本医師会から三カ月ほど前に、正副会長他の役員会でのスピーチを依頼されました。

「私は50年間政治に取り組んで来たので、政治しか話せませんが」と言ったところ、担当の理事の方から「市職員・市議会議員・市長を40年経験され、さらに国会議員として10年近く活躍されたので、その経験を生かして政治について自由にお話ください」とのこと。有り難くお引き受けしました。

1.1989年が戦後政治の分水嶺

6/4に天安門事件、11/9にベルリンの壁崩壊、12/25にルーマニアの独裁者チャウシェスク大統領が公開処刑になりました。(また、日本においては昭和天皇が崩御されました。)このことを契機に1991年8月にゴルバチョフ書記長が幽閉され、ソ連邦(USSR)が崩壊しました。戦後を支配したパックス・ルッソ=アメリカーナの終焉です。その後、米欧日とBRICSの台頭があり、民族・宗教・貧困等を背景に地域紛争が続きました。2001年9月11日のニューヨーク多発テロもありました。

2.日本の失われた35年 

日本は昭和62年~平成2年までバブル景気の真っ只中にありましたが、平成3年にバブルが弾けて金融・証券の倒産や合併が相次ぎ、長い停滞に入りました。潮目が変化したのは安倍晋三総理の登場からです。安倍総理は戦後レジュームからの脱却を掲げ、アメリカ等からは歴史修正主義者と厳しく批判されました。経済的には金融緩和・規制緩和・財政出動の3本の矢で経済立て直しの道を拓きました。さらに、集団的自衛権、経済安全保障など日米同盟も強化しました。その結果、民主党政権の後の2012年第二次安倍政権7年後では、円高80円/ドル前半、株式市場は平均8000円台だったのが、円は120円/ドル、株式市場は平均24000円台まで回復し、新しい時代が始まったのです。

3.IT、生命科学、宇宙、海洋などの分野の著しい変化と発展 

とりわけIT分野はAI時代に突入しています。世界的歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は「破壊的技術革新もある。人類の危機」と語っています。一方、元京大総長の山極寿一さんは「群れる動物人間が社会の進歩をもたらした」とし、人間の同調する能力の大切さ、群れる意味を主唱しています。人間復興の時代に来ていると思います。

4.ウクライナ戦争の行方 

ウクライナはNATOに入らず、中立政策を取るための法律まで作りましたが、その後さまざまな動きがあって、アメリカとりわけバイデン大統領は2021年12月にプーチンと会談し「ウクライナが戦闘に入った場合、米軍を派遣する可能性は低い」等と発言したとのこと。トランプ大統領は「私が大統領であったら、ウクライナ戦争は起こらなかった」とたびたび述べています。

混迷の時代を迎えているが、政治の役割は極めて大きいと申し上げました。

日本医師会の皆様も国民医療の担い手としてご活躍することをお祈りいたします。