松下玲子前武蔵野市長に損害賠償を求める住民訴訟の控訴審。東京高裁での審理が3月6日と決定
令和3年10月28日、松下玲子市長(当時)は道路法や廃棄物処理法等の「公法」によらず「民法」の契約で不動産業を営む隣地所有者に吉祥寺駐輪場用地を売却しました。正常価格(その土地の持つ単体の価格)524万円/坪という信じられない安値です。吉祥寺駅から1分の商業地、容積率600%の超一等地を524万円/坪で売るなんて考えられません。
重大な損害を市に与えたので損害賠償を求めて、翌年令和4年8月25日に東京地方裁判所に提訴いたしました。提訴まで10カ月かかったのは市役所内部の書類の調査や市議会での議論を精査していたこと、さらに地方自治法の規定により、まず市に対して住民監査請求をすることが義務付けられているので、そのために2カ月かかったことによります。
東京地裁の判決まで約2年かかりましたが、結論は“却下”でした。私たちの主張は退けられたことになります。
「吉祥寺駅前1分の商業地。容積率600%の超一等地が524万円/坪」
「駅から8~15分の住宅地。容積率80%の土地が250~300万円/坪が普通なのに」
これでは到底承服できないので、東京高等裁判所に控訴いたしました。理由は大きく分けて次の3点です。
① 一審判決が法的根拠とした2つの最高裁判決(昭和62年・平成25年)は、何れも廃棄物の処理及び清掃に関する法律で焼却場やし尿処理についての事例であり、行政が怠れば住民の生活、とりわけ保健・衛生上重大な影響がでる。長が実情に応じて柔軟に対応するのは当然のことです。このことと、民法による任意の市有地売却を結びつけて適用するのは事の重大性が全く異なり不適切である。
② 一審判決が武蔵野市の利益になると判示した具体的事項については、事実と全く異なる。個々に検討を加えず、市の主張を鵜呑みにしたものであり、事実誤認である。
③ 524万円/坪の土地の価格は安すぎる(公開された不動産取引の事例を資料として付けた)。さらに問題となった市の駐輪場用地は平成5年に11億円で購入したものであり、それを9億円で損切してまで売却することは到底市民の理解を得られない。故意または重大な過失がある。
以上、主たる3点についてを簡単に述べましたが、各項目ごとに論点を整理して、審理に差しさわりない範囲で、私のブログで逐次公開いたします。