先日、早稲田大学出身者の稲門市長会が開かれ、私もOBとして出席しました。その席上で表題のやりとりがありました。
「私が松下市長を批判するのは、公人武蔵野市長としての行政行為が権限を逸脱し、市民の利益を損なっているからです」と答えました。
“現職市長は辞められるが、元市長は終身元市長”といわれます。市長を務めたものは辞職しても生涯元市長なのだから、市民のために働きなさいという自戒の言葉です。
私は2005年小泉純一郎総理にリクルートされ衆議院議員となり、通算9年永田町で国政に携わりました。私の後の市長は邑上市長、松下市長で政治的立場は異なっても市民のためになることなら、側面から支援して参りました。
その一つが3年前の吉祥寺駅周辺の地代問題です。吉祥寺駅周辺の土地は区域内にあるお寺さんが所有をしています。ビルオーナーは地代をお寺に払いビルを建設し、それをテナントに貸すという仕組みです。
2020年に新型コロナ感染症が急速に拡大し、パニックになりました。3月から学校が一斉休校になり、吉祥寺の商店街は5月の連休というのに人がほとんど歩いていないという状況でした。「このままだと商店がつぶれる。シャッター街になる」「商売を続けるためには、ビルのオーナーにテナント料の減免をして欲しい」「ビルのオーナーも苦しい。お寺さんに地代を下げてもらえないか」と悲鳴のような声が続々と寄せられました。
「浪人中の私に出来ることは限界がある」と思いながらも、地主のお寺さんにお願いに行きました。お寺さんは吉祥寺の窮状に理解を示され、戦後初めてとなる地代値下げに踏み切ってくれました。結果として、松下市長の得点につながったと指摘する人もおりましたが、たとえ市長の得点になっても「市民のために良かれ」が全てです。
しかしここ数年「松下市長の暴走」が始まりました。
・住民投票条例(市議会で否決)で、外国人にも日本人と同様の投票権を与えること
・市民以外の外部の学者が原案を作った「子ども権利条例」
・吉祥寺駅前の超一等地の市の駐輪場の売却
等々です。
私は改めて同席した各市の市長に「あなたの街では駅前の超一等地を理由もなく、隣地の民間企業に売りますか?」と尋ねると、皆さん異口同音に「ありえない」「凄いね」「議会から不信任がでる」と答えました。
公人としての市長は「法と正義とふるさと愛」で市民のための仕事をすること、これにつきます。
元市長として、これからも「市民のためになることなら応援する」「度を過ぎた権力濫用で、市民の利益を損なうなら、厳しく批判する」ことを貫きたいと思います。