私が東京地方裁判所に損害賠償請求の住民訴訟を起こしたことが新聞に載ったので、基本的なことが知りたいとの問い合わせが市民からありました。そこで、長文ですが概要を下記のようにご報告します。
武蔵野市は、令和3年8月27日に㈱レーサムからA土地(旧青山外科跡地)を公有地の拡大に関する法律を適用し購入した。また令和3年10月28日、市の駐輪場として20年余りに渡って使用していたB土地を㈱レーサムに、公法上の根拠によることなく、民法上の契約によって売却した。
武蔵野市政始まって以来の超一等地の市有地売却であり、常識では考えられない行政行為であり、違法・不当である。
令和4年6月6日、地方自治法に基づいて武蔵野市監査委員に監査請求を行い、同年8月2日に住民監査請求が棄却されたので、地方自治法第242条の2第1項に基づき、8月25日に損害賠償請求の住民訴訟を起こしました。
1. 公益性なし
① 遠くの土地を買って、近くの土地を売る
② 駐輪場台数は698台 → 546台に減少
③ 土地の価値が全く異なる
商業地区・容積率600%を売却して、近隣商業地・容積率300%の土地を買った
④ 土地の希少性 B土地は二度と手に入らない希少な土地
2. 違法・不当な取引
① 売却したB土地は都市計画法等の公法上の根拠がなく、民法の任意の契約による売却。権限の濫用である。
② B土地を随意契約で売却したことは、地方自治法施行令第167条の2第1項各号の随意契約の要件に該当せず、違法・不当。
③ 地方公共団体の長が守るべき、地方自治法第2条14項の最小経費最大効果原則に違反、及び、地方自治法138条の2の事務の誠実な管理執行義務に違反。
3. 武蔵野市自治基本条例に違反。情報の秘匿・非公開。市民参加ゼロ
① 行政の意思決定以前に、市有地売却の重大事項を知らせる具体的な記述は全くなし。情報非公開で、市民が政策形成に全く関与出来ていない
② 憲法第93条で定めた、二元的自治の一方の担い手である市議会に報告したのは、市長側が意思決定した後の令和3年5月17日である
4.この二つの取引によって、具体的損害額は9億9870万円である
市は不動産鑑定を浅川不動産コンサルティング一者のみに依頼した。浅川不動産コンサルティングは、吉祥寺駅北口1分の商業地、容積率600%の超一等地の駐輪場の評価を、単体価格(正常価格)524万円/坪と常識外れの低い価格で評価した。
二者以上の鑑定をすべきだった市は、重大な過失を犯した。その結果下記のような損害が発生した。
① A土地購入 不当に高く評価 計 1億7160万円の損害
② B土地売却 不当に安く評価 計 8億2710万円の損害
合計 9億9870万円の損害
この概要は、住民監査請求のための調査をもとに作成しました。