ブログを読んだ市民から問い合わせがありました。「武蔵野市監査委員は、吉祥寺駅北口1分の20年間以上も駐輪場として使っていた市有地を西側隣地所有者に売ったことを正しかったと認めたのですか?」と。
監査委員に与えられた権限は、市長が行った行政行為が
①法律に違反しているか、否か
②その結果、財務会計上の損害が発生したか、否か
について審査し、損害があれば市長に勧告して是正を求めるという役割です。
吉祥寺駅北口1分で用途・商業、容積率600%という超一等地を隣地所有者に売却した行政行為が、政策的に正しかったのかどうかを判定するわけではありません。
①について、監査委員は吉祥寺駅北口1分の市有地を随意契約で売却したことは、適法だったと判定しました。その根拠に地方自治法施行令167条の2項を挙げています。この条文の関係する条項は次のとおりです。
「不動産の買入れ又は借入れ、普通地方公共団体が必要とする物品の製造、修理、加工又は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」
この条項を普通に読めば「不動産の買入れ又は借入れ」ですから、不動産の所有者と交渉し、まとまればその人と随意契約をするのは当然です。今回のケースは、市の所有する不動産の売却ですから、この条項の適用は出来ないと考えるのが普通の解釈です。私たちは違法・不当だと主張しています。
その他「武蔵野市公有財産管理規制」とか「武蔵野市普通財産売払い事務取扱い要綱」等を根拠にしていますが、私たちは規則や要綱そのものは必要と認めます。しかし、その規則や要綱を今回の市有地売却に適用した行政判断、行政行為は間違っている。違法だと主張しています。
今回の取引の根拠は民法です。公人としての市長が権限を行使する根拠は、都市計画法・道路法等、公法に基づいて代替地として認定された場合のみ随意契約できると私たちは主張しています。
②この取引によって市に損害を与えたかという観点について、監査委員は次のように判定しています。不動産の評価は、国土交通省が制定している不動産鑑定評価基準を引用して
「個別の取引価格は取引き等の必要に応じて個別的に形成されるのが通常(中略)不動産の適正な価格を見出すことは一般の人には非常に困難である(中略)不動産鑑定士の鑑定評価活動が必要となるものであると述べ(中略)協会推薦不動産鑑定士から意見聴取して判断することをした」と述べています。
私たちは、市は業者から旧青山外科の土地を高く買い、同一業者に市の駐輪場用地を安く売却したと主張しています。その主張は多岐に渡るので具体的には記述しませんが「不動産評価とりわけ商業地は不動産鑑定士の見方によって評価が変わるので、最低二者の鑑定を取るべきだったのではないか」と指摘しています。
事実、市の財産価格審議会の委員である不動産鑑定士からも
・評価の根拠が示されていない
・二者鑑定すべきではないのか
という指摘がなされていて、市はそれに答えていないのです。
このように監査委員の判定にも相当問題があると考えますが、監査期間は60日間と限定されており、事務局にも十分な専門家がいるわけではありません。問題はこれからです。市長は違法・不当な行政行為で市に損害を与えたことを、裁判の中で立証していきたいと思います。