日本がリードして「シップリサイクル条約」の締結推進。ついに2025年6月26日発効-船舶解体における労働安全確保と環境保全が目的
船舶は世界各地の造船所で造られますが、廃船になって解体されるのはインド・パキスタン・バングラディッシュ等です。
1999年以前は特別なルールもないため、大部分は前記の国々で解体され、有害物質の含まれる機器が無造作に放置拡散されていました。
その後、船舶機器の取り外しによって作業従事者に健康影響が出たり、土壌汚染等が懸念されるようになりました。また、巨大な船体の解体で高所作業の危険もあり、先進国の開発途上国への公害輸出だとの厳しい指摘もありました。
そこで立ち上がったのが日本やノルウェーでした。国際海事機構(IMO)の中で他国に働きかけて、2009年に香港にて「シップリサイクル条約」が採択され、具体的な規制基準作りが始まりました。
この条約が有効に発効するためには15か国以上が批准すること等の要件があるのですが、2023年6月26日にバングラディッシュとリベリアが条約を批准し、その2年後の2025年6月26日に発効することになりました。
対象は国際航海に従事する500トン以上の全ての船舶です。
① 船舶は有害物質一覧表(インベントリ)を作成・維持・管理し、認定されたリサイクル施設に持ち込む
② 船舶リサイクル施設は、労働安全の確保と環境汚染の防止に関する基準適合の承認を取得した施設に限る
等であります。
私は海事振興連盟の勉強会に定期的に参加していて「シップリサイクル条約」は8月の勉強会で学びました。日本の輸出入の99%は船便です。島国日本の最重要分野が海運です。
海国日本がリードして、国際条約の締結。素晴らしい。