「信なくは立たず~舛添知事、退職」
本日付けで、舛添知事が退職だ。舛添さんと初めて出会ったのは、十数年前の彼が東大助教授時代である。
2000年に介護保険制度が導入されることになったが、私は武蔵野市長として現場から、介護は税でやるべきと「保険制度」反対を発信していた。
舛添さんは少壮の国際政治学者であったが、お母さんの介護をされた経験から、介護の社会化に注目して発信を始めていた。
機会があって2時間にわたって対談し、この対談はのちに舛添さんの著作集の中に取り上げられた。
平成17年、私が衆議院議員に当選して間もなく、舛添さんは参議院議員となり、様々な変遷があったが2年前の都知事選挙でも応援した。
舛添さんは、理詰めで考えるタイプなので、今回の一連の指摘事項も「自分は違法なことはしていない」という心境なのだろう。
民主主義社会は、政治活動の自由を最大の価値の1つと考えているので、政治資金規正法では使途については緩やかな規制しかない。確かに政治資金による買い物は違法ではないのだが、不適切と人々が感じたら為政者に対する信頼は失われる。
為政者のたたずまいと説く「論語」の中で、孔子は弟子の子貢の問いに答えて、政治に必要なものは三つあり、十分な食糧、十分な兵、そして民の信頼だと述べる。
子貢がさらに三つの優先順位を聞くと、まず兵を捨て、次に食糧を捨てると。食糧がなければ人は死ぬが、昔から誰にでも死はあるとまで言い切る。
そして民は信がなければ安定しない、「信なかずんば立たず」と。(論語巻六顔淵第十二)
権力をもった為政者が民の信頼を失った時は大混乱、極端になれば中東ISの出現となるということなのだろう。
次の都知事になる人は「信なかずんば立たず」で行って欲しい。