昨日、府中市内の養護老人ホームの施設長から建替えについて相談を受けた。
2000年の介護保険法施行後65歳以上の方で介護を必要としている人は要介護の度合いに応じて契約でサービスを受けることができる。重いケアを必要とする人を介護する特別養護老人ホームの整備が急務だ。
しかし、独居の生活保護者や刑務所出所後、更生保護を受けている人の中には自立出来ない人も多い。そこで養護老人ホームが入所施設として役割を果たしている。1人当たり月18~19万円の措置費を行政から受け取り運営する。重要な施設だが、建物老朽化と、旧タイプは四人部屋が多いので、入居を敬遠する人がいて定員に空きが出るなど問題があり建替えをしたいのだが・・・という相談を受けて府中市の施設を見学した。
施設は鉄筋コンクリートづくりで四人部屋は畳で19㎡だ。確かに狭いし、プライバシーも無い。以下、施設長の話
① 都の補助を受けて建替えたいが、入居者が要介護状態になったとき、サービスは外部が提供する方式をとる施設を優先して予算をつけるという。この施設は在宅ケアセンターを併設してそこからサービスを受けている方式だ。
② 併設された在宅ケアセンターは施設の周辺の家庭の訪問ケアサービスを担っていて、それが地域と施設の信頼関係をつくっている。
③併設の在宅ケアセンターは入居者の介護サービスも担っているが、これを別立てで外部のサービス提供業者から受けた場合、外部にサービス料を支払うことになり、施設の経営が成りたたない。
④同じ法人が敷地内で養護老人ホームと在宅ケアセンターを併設し初めて採算がとれるという。
2000年から始まった介護保険は40歳以上が負担する保険料と公費・税金で費用を折半している。一方養護老人ホームは全額公費・税金で成り立っている措置費である。
二つの費用を明解にするために、介護サービスを外から受けなさいという都の主旨は理解するが、現場ではどうか。処遇を手厚くすれば人件費も想定以上にかかる。とりわけ処遇が困難な更生保護者など大変だ。
入居者の人間らしい生活の保障と社会の安定のために養護老人ホームに頑張って欲しいが、実情に合った行政支援も必要だ。
この施設はこれから一年かけて中長期の経営計画を立てるという。国・都・市に関係することなのでこれからも折にふれてご相談下さい。と言って別れる。