外資のウーバーは、ITシステムだけで事業をやろうとしている。日本型ライドシェアを構築して、安心・安全・利便・保障を担保するシステムをつくるべきだ
Uber(ウーバー)の方式はマッチングアプリで自家用車を登録させて、あとは利用者と運転者の自己責任でやって下さいというシステムのように思える。良く言えば、独立した個人の自由と責任による規制緩和のサービスということになる。しかし乗客の安全は誰が保障するのか?事故時の保証は十分か?感染症対策は十分か?など問題を内在している。
私たちはこの20年間、規制緩和というスローガンのもとに様々な損失と犠牲を払ってきた。観光バスの規制緩和で、運転者の過重労働による重大事故が多発した。一般競争入札を奨励し、自由競争を加速させた結果、ダンピングして受注した企業の安全管理が劣化して、エレベーターやプール事故などが相次いだ。これらの教訓を受けて、国会は社会資本の根幹をなす公共工事品質確保法等を制定し、総合評価方式が定着した。
一方で過疎地ではタクシーがほとんどない。都会でも運転手不足でタクシーの絶対数が不足して、利用者が長時間待つ等の現象が起きている。
公共サービスのこれからの方向は、潜在する民の力を活用すると同時に、国や都道府県、市町村の公の力を発揮してベストミックスを作ることではないか。
武蔵野市のレモンキャブ事業は身元がはっきりしている米屋さんや燃料店の信用と責任を担保にして、市民が800円/30分の料金で利用できるベストミックスを作ったことである。そして、さらに大枠で武蔵野市が合理的範囲で公金を支出して保障する、市民、運転者、市の三方良しのシステムだ。
今までの経験の中から、日本型ライドシェアは
① 地方都市、とりわけ過疎地域を対象にしたシステム
② 都市部において高齢者や障害者が生活圏の中を移動するレモンキャブのようなシステム
③ 大都市、観光地などのタクシー不足を補うためのシステム
等に大別して各々の特徴を活かした日本型ライドシェアを構築して国民のニーズに応えるべきと思う。